HSPなど過敏性についての本について
今は生きづらいと感じる方が多い世の中のためか、HSPの概念が受け入れやすい状況にあります。
発達障害ではなく、スピリチュアルとの相性もいいため、少し偏ったビジネスにも利用されている面が強くなってはいるものの、自分が果たしてHSPに該当するのか、このうまくいかないのはなぜかを探りたいという方が多いのも事実。
そこで今回はHSPの診断で強い結果が出まくる筆者がHSPや過敏性について書かれた書籍をいくつか読んでみましたので、その感想やおすすめポイントなどをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
日本でHSPというものを一般に広く知らしめたかなり売れている本。
イメージとしてはメンタリストDaigo氏の著作に近いスタンスですね。著名な作品や論文などをわかりやすくまとめている感じ。“あるある”という共感できる話が集められた短編集的な意味合いも強いです。
入門本としてはいいとこどりでわかりやすいので、おすすめ度は評判通りに高いです。
実際に自分が実際に時間をかけて導き出した自己分析の内容に近いものが触れられており、先にこれを読んでいれば楽だったかもと思うほどです。
ただし読み心地は良いのを狙った分、全体的には表面をさらったような印象で、浅いところや対策については実用的でない部分も目立ちます。それゆえ、すぐに何とかしたい人にとっては物足りなさやまどろっこしさ、参考にならなかったと感じるかもしれません。そういう方は自分で別の本や情報で探る方が良さそうです。
ですが、相談を受けた方々のエピソードは共感できるものが多く、入門用としては良本だと思います。ただ事前に自分で調べておいた上で読む方がしっくりくるんだろうなと感じるところも多いと感じました。
イメージとしては、共感することで安心したい人にとってはすごくいい本です。また自分で調べたことの補完資料として優秀。ただHSS型などの分類についてもほとんど言及がないので、もっと追及したり、チェックしたいといった方には足りないという感想になるでしょう。
あなたが何を望むかで評価は分かれますが、個人的には入り口としてはおすすめ。
ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。
「HSP」という概念の提唱者であるエレイン・N・アーロン氏の著書。
やはりこれを読まなくてはならないでしょう。彼女は心理学者でありセラピストの肩書をもちますが、ややスピリチュアルに傾倒し過ぎていると言われています。実際に10章が急にスピリチュアルになって、おいてけぼり感がすさまじかったですが、それ以外は幅広く注意すべきポイントをおさえた良書でした。
チェックリストなども豊富で、どう対応していけばいいのかのヒントが数多く散りばめられています。
ただしHSPをはじめとして内向型や感受性が豊かな人と外向型や鈍い人という書き方が少し煽っているように感じますし、優位性を強調し過ぎかもなと感じる点も見受けられました。
また内向型中心で書いているので、HSS型HSPの方には少し物足りないと感じる面はあるかもしれません。
日本では未発売の抗うつ薬でありますが、それらは生命の危機やどうしても乗り切りたいときに使うことは有効であるという扱いは納得ができましたし、セラピーを受ける上での注意点などは他の著書では得られない濃厚さでした。
文中で触れていますが、一時的な流行に利用されることを予見してたのは見事ですね。(スピリチュアルについては著者も傾倒してる感じはありますが)
少しまとまっていない上に、終盤に一気にスピリチュアルに傾いてしまったことで読み物としての読後感はあまり良くありませんが、多くの視点から書かれた良書だと思います。
生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン
看護師、保健師、アロマセラピスト、健康食コーディネーターなどの経歴を持つ筆者が自分の体験とHSPとの接し方や自己肯定感がないことへの克服や対策などを描いた書籍。
ブログやSNSなどで発信しているのもあってか、非常に読みやすいのが印象的。
他の筆者よりも若いのもあるのか、親近感のようなものも感じました。
わたしと同じようにうつ病になったパターンも似ており、気圧でやられる、自分自身で調べて考えたことも似ている点でも共感するポイントが多かったです。
違和感ややりがちなこと、HSS型にも言及されていて、そしてそのHSPっぽさが過剰になりそうな場合や自己肯定感が失われそうな時のちょっとしたアイディアなども人によっては役立ちますね。
少し筆者の資格に関わる内容がしっくりこない点はありましたが、イメージとしては「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本よりもさらにライトにした感じですね。
さっと読めてしまうので物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、自分はこれくらいでもいいかなと。
あと章の間に精神科医の方の解説があるのですが、それが軽いだけではないという点に貢献しています。そこまで強い感じではないのですが、ポイントを押さえているなと。
HSP、うつ病、自己肯定感というつながりが無視できないと感じている方には、かなりおすすめの書ですね。
過敏で傷つきやすい人たち
以前うつ病や適応障害を調べた本の著者である岡田尊司氏が精神科医の立場かつ自身もHSPである観点からの著作。
“過敏であること”に対する見解や似た精神疾患やうつ病などの対症療法などを紹介しつつ、共通点から対策を考えるという構成。
「HSPは病気ではない、気質である」という認識の方には抵抗があると思いますが、すでに読む前に同じ思考に近づいていた自分にはしっくりくる内容でした。
相関関係は面白いですが、サンプルが少なすぎるのと日本版もあればなと。
HSPという概念は医療では受け入れにくいものであり、病気とするには強引であるため、過敏症の一部に該当させるのが妥当な線という微妙感について触れているのは、自分にとって大きなプラスでした。この曖昧さがネットでのHSPという言葉が今妙な盛り上がりになってしまうのだろうなと。
※ただしこの本は、やや愛着障害にこだわりすぎているというか他の著書の紹介をしたいのか、その点には違和感がありましたので、そこはマイナスしておく必要があると思います。
結局予測した脳内物質や神経物質についても、セロトニン、アドレナリン、偏桃体あたりはやはり共通しているということがわかりました。同時に散歩・ヨガやマインドフルネス・リラクゼーションが有効であるということも。
また安全基地を確保すること、認知すること、過去の克服というポイントもある意味共通。これらが有効であることは過去の経験上わかっているので納得。
また刺激に対するものは和らげるものを使うというのは、考えればすぐにわかることについても言及していました。(音にはイヤーマフや耳栓、においにはマスクや自分の好きなにおい、目にはサングラスなど)
要は常に警戒態勢や情報収集をしている状態。そのため情報量が多い状況になると、処理量が多いために疲れてしまう。またそれらにリソースが使われるため全体の処理能力に余裕がないため、強烈なもののダメージは回避や防御できずに直撃しやすい。
強烈な緊張状態や恐怖・不安が続くと、脳内・神経物質の分泌に異常が生じるために、うつ病やメンタル疾患と同様、もしくはそれらの病気になる。それらと親和性が高い。
HSPは気質とはいえ、そういった病気に直結しやすいというのは留意しなければならないということがわかりました。もちろん個人差が大きいので、あくまで自分にとっては。
自分はうつ病が再発する可能性が高い気質であるということがわかりました。
HSPとうつ 自己肯定感を取り戻す方法
うつ病を患った著者が実はHSPが原因だったのでは?という疑問から回復したことから、うつとHSPの違いと自己肯定感の獲得を中心に書いた本。
自分もうつ病とHSPの関係性を探りたい、自己肯定感を高める必要があると考えていたので期待したのですが、正直危うい本だなという印象。著者および奥様も医療に明るいはずなのに、そんな認識で大丈夫かな?と心配になりました。
そもそもうつ病とうつ、うつ傾向などの表現がぶれまくっていて、この時点で不安感があります。HSPについてもその特性の認識が少し怪しい気配があります。HSPという単語がもてはやされているから、それに乗った感が強いかもと。
とにかく抗うつ薬に対する不信感がとにかく強く、むしろ憎しという雰囲気も感じられました。(気持ちはわかりますが、あまりにも極端に感じられました)
全体的に浅いという印象は拭えません・・・読みやすくするためかもしれませんが、省略しすぎで逆に信頼できない作りになっているのはもったいないですね。
とはいえ、自己肯定感の上げ方をまとめている点は鵜呑みにはできないものの、参考になる点はありました。自己肯定感を獲得するのが課題で、どうしたらいいかを自身で考えていこうという気持ちにつながった点では読んでよかったです。
気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる
2017年からやけに著作が増えた児童精神科医の長沼睦雄氏の書籍のひとつ。
“気にしすぎ人間へ”というタイトルがあおり気味で読みたいと思う人への否定につながりかねない強い表現なので読む人を選ぶのが残念です。ただ著者も文中に書いてはいるものの、この表現を乗り越えてでも・・・という意図もあるのかなと。
HSPに限らず、自分を受け入れることの難しさを強調しつつも、「クヨクヨしてしまう心」と向き合う方法を中心に書いていますが、個人的には見るべきポイントは多いです。
中身はライト層向けですが、HSPの根幹にあると言われる愛情障害や脳機能などに触れつつ、自己愛パーソナリティ障害など気になるポイントにも触れているので網羅性は高め。他の著者の受け売りが薄っぺらく紹介されているのが気になりますけどね。
ポジティブ思考でなければいけないというのが心を縛る鎖になるというのは同感。どうもポジティブ思考が良くてネガティブ思考(マイナス思考)はダメという風潮がありますが、自分はそれに対しては否定的な姿勢なので納得感が強いです。
いいところを伸ばすという点についても触れてますし、人生観というか慌てずに弱点をなくそうとせずに長所を活かしていけばいいという持っていき方は好きです、個人的に。
HSPもそうですが、HSS型といった外向型ではなく内向型に特化している点は気になります(確かに内向型が多いのは確かでしょうが)が、似たような傾向がある人に向けてのガイドライン的な使い方はできそうな感じです。
結局どれを読めばいいの?
ずらずらと書きましたが、それぞれの本で向き不向きがあります。
HSPのあるある・簡単な対策を知りたい、読みやすい、確認したい
→「繊細さん」の本
その気質の優性を意識したい、網羅したものが読みたい、チェックしたい
→”エレイン”本
HSPとうつ病、自己肯定感がなと感じていて、気軽に読みたい
→「生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン」
発達障害やうつ病に似ている点などを知りたい、相関性などを知りたい
→「自己肯定感を取り戻す方法」
HSPよりも、とにかく自己肯定感の低さをなんとかしたい
→「気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる」
参考にしてくださると嬉しいです。
少しでもあなたの悩みが軽くなりますように。
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