【うつ病発症物語14】破れ!悪夢の無限ループ

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悪夢の始まり

(そんなバカな・・・)

休職してから1日目、いきなり想定が外れたことに自分は驚愕していました。ちっとも心身ともに休むことができなかったのです。

その原因は・・・

心に生まれた罪悪感と不安が混じったような複雑などす黒い何か

1か月先の休職明けにどう回答するか、悩むだけ・・・そんな無為な思考がずっと脳を、思考を支配していました。

「休職後に仕事できるかな?それまでに治せるかな・・・もしダメならどうしよう・・・」

気を紛らわせようとしても、趣味の本は文字で吐き気がするので読めず、ゲームもする気が起きず、動画を観るもすぐに疲れてしまう、そしてまたネガティブな悩みが頭の中で回る・・・出てくるのは明確な答えではなく、溜息と落胆のみ。

こういった精神状態では体も休めることはなく、悪化したまま・・・まるで出口の存在しない迷路にはまり込んでしまったような悪夢を見ているような感覚でした。

なんで休養しているはずなのに息苦しくて、こんなにつらいんだ?

こうして疑念と自責の念と戸惑いが少しずつ心の中で大きくなっていきました。

 

逡巡~心の自傷行為

それは、まるで心の自傷行為でした。

過去に上司たちに言われた「無能」「コミュニケーション力がない」「精神的に弱い」「まともな判断ができない」「納期も守れない」「体もすぐにおかしくなる」「くだらないことばかり話をしている」「将来的な目線が足りない」「低レベルな思考」「ネガティブなことしか言わない」・・・

そして善意で説得してくれた仲の良かった社員の方の「辞めないでほしい」「成長のチャンスを逃すのではないか」の言葉・・・

今にして思えば実態とは大きくかけ離れた上司たちの妄想やマウントから来る言葉なのですが、当時の自分はそれを跳ね返す力はなく心にすべてためていました。さらに善意からの言葉が呪詛になって加わり、完全に防御力ゼロの丸裸の心にそれらの刃物になった言葉を何度も何度も自分に対して突き刺していました。特に自己否定は本当にこの状態ではダメージが倍増することにつながりました。

そして前述の不安や休職解除後の去就を決めることができない自分に対して繰り返す悪循環を生み始めていました。

「やはり退職した方がいいのか?・・・けど、それは逃げなんじゃないのか?・・・自分は弱い・・・なぜこうなった・・・自分が無能でダメだからか?・・・ならば休職しても無駄ではないか・・・それにお金の問題もあるし・・・」

そして母にも「まずはしっかり休みなさい」と言われる始末。ですが、上司たちへの対応を考えると気が重く、その対応で動きたくないという気持ちが強く、それがまた自責の念につながっていました。

まる2日間ずっとこんな状態でした。

もちろん心身ともに休めることはなく、むしろ傷が増え、傷口も広がっていったのです。

 

ブレーク!無限ループ

そんな自分の悪循環とも言える無限ループも3日目で終わりを告げます。

突然、本当に急にある考えが頭をよぎったのです。

(あれ?自分がここまで悩む理由って何だろう?あの会社にそこまでする意味ってあったかな?何でそこまで自分を傷つけなくてはいけないんだ?自分を守れるのは最後は自分しかいないのに自分で攻撃したら・・・味方がいないことで絶望的な戦いでしかない。これはやばいことをしているんじゃないか?)

まさにこれがブレークポイント※でした。

※プログラム用語でバグ修正などを目的として、プログラムを実行して意図的な場所で一旦停止する設定のこと

ある意味強い自責の念が限界ラインを超えてしまったために、脳が一旦思考が停止したのかもしれません。本当に急に冷静になりました。

(別に会社を辞めたからといって命を取られるわけでもない。まずは自分が大切なはずだ・・・なぜそれに気づけなかった。彼らは他人のことを非難するが、それは彼らの勝手だ。現に過去同じように辞めていった人は多いと聞く。彼らの勝手な行為によって。果たして彼らの言うことは悩むことに値するか?いや、自分自身はそうではないということを知っているはず。

今まですべて自分で否定していたことが、突然思考が順序立てて活発化していきました。今までとは逆の方向に。漫画によくある完全に覚醒した状態になりました。

そして、その瞬間に人事権を持つ上司に直接電話をしました。

「休職したことで、1か月後以降も会社で働くことはできないと判断しました。配慮いただいたのに申し訳ございませんが、退職という形に切替させていただけませんでしょうか?」

相手は過去に披露してきた批難をもう一度仕掛けてきましたが、その時点の自分にはその攻撃は効かなくなっていました。

(自分の身を自分で守らなくてどうする!)

「この数日、いえ・・・ずっと考えてきて決めたことなので、もう覆ることはありません。戻ったとしてもパフォーマンスを会社で発揮することはもう無理な状況になっています。回復も期限を決めずにじっくりやらないと厳しい状態にあります。申し訳ございません。」

さすがにここまで言うと相手から返ってきた言葉はこうでした。

「・・・わかった。そこまで言うなら仕方ない。」

退職手続きや保険に関する話は担当者と相談しろという話になり、電話を切りました。そして直接の上司やお世話になった方々にも退職する旨を伝え、何か不明な点があれば連絡くださいと伝えて、お礼と感謝を述べて一応の幕を引きました。

(これでやっとゆっくり休むことができる・・・)

本当に心がホッとしたことを覚えています。久しぶりの安堵感。

母にこのことを告げると予想以上に喜んでくれました。

「今まで言わなかったけど、あの会社は色々な意味で疑問が多かったし、みるみる悪化していく貴方を見るのは辛かった」と。

本当に家族に心配させてしまったことを後悔しつつ、まずはこの病気と正面から立ち向かわなくてはいけない。ここから始めていかなければと新たな決意をしました。

そして就寝すると、本当にいつ以来だろう?と思うほどにぐっすり眠ることができました。

次の日から宣言通り、うつ病と正面から向き合うことになりました。

しかし自分はその病気を甘く見ていたこと、自分自身の疲労やダメージがすさまじかったことをこれ以降痛感せざるを得ない状況になるのでした・・・。

 

続きます


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コメント

  1. より:

    苦しかったんですね。
    悪循環、よくわかります。
    考えすぎとかよく言われますが、抜け出すのはほんとに難しいですよね。

    • はいみ より:

      曇さん、ありがとうございます。
      苦しかったですね・・・抜け出せないんですよ、どんどん深みにはまっていくというか・・・

      わかっていただけて嬉しいです。