前兆 ~望まぬ再会と異変~
なんとか抑えることができていたと思われていたうつ病的な症状が仕事の中盤あたりから顔を出してくるようになりました。
珍しくイライラしていたり、負の感情が爆発したり、道に迷って混乱して頭が動かない自分に驚くようなことが休日にも起こり始めたのです。
今まで休日は疲れていても、安静だったのに明らかに何かが変わり始めていました。
感情のコントロールが効かなくなってきた???
そして大したことのない言葉で一気にネガティブに落ちるなど、少しずつ自分でもおかしいと自覚するレベルの状態になってきたことに戦慄が走りました。それは来てほしくない来訪者でした。
(まだ比較的楽と思われる中盤戦でこれよりも圧倒的に厳しいと思われる後半戦を乗り切ることができるのか・・・?)
(自分は時間をかけて回復してきたじゃないか・・・また戻るのか?)
ただでさえ答えの出ない底知れない不安から生じた疑問は解消されることなく、それを抱えながら仕事を続けることになります。
自分自身がわからない心境というのは、その後の前兆以外の何物でもないのでした。
呪縛のトリガー
調子が良かったり、悪かったりを繰り返し・・・奮起しながら際どいラインで仕事をこなしてきましたが、ある日先輩の思わぬ言葉が自分自身の心に刺さりました。
「前任者の〇〇さんはこうしてくれたよ。」
本人はそういう意識で放った言葉ではないのは今ならわかるのです。ましてや前任者は付き合いの長さから先輩と阿吽の呼吸で業務を行っていましたから・・・。
すでに劣等感がたまり、精神的に不安定になっていた自分にとっては「自分の力が足りていないからそう言われた」と解釈してしまい、ある封印が解かれるトリガーになってしまったのです。
「無能」
それは呪いの言葉。
かつて言われた忌々しい烙印。
前職で言われてズタズタになるきっかけとなった言葉が、まるであの人気ゲーム「逆転裁判」のサイコロックのように心と体に鎖状に絡んでいくのを感じました。
(嘘だろ・・・小さいことを積み重ねて自信を取り戻してきたのに・・・)
冷静になっている今ならばこの思考はおかしいとすぐにわかるのですが、この頃はもうネガティブスパイラルに入っていました。すでに倒したはずの強敵が目の前に現れたような絶望感をその瞬間に味わったのです。そんな不穏な状況で難関と言われる後半戦に突入していったのです・・・
第6話「近づく限界と悪夢」に続きます。
【おしごと再起動 ~うつ病前後の境界線~ 】全話リスト
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