過去に現れた選択肢たち
日々を過ごす中で移りゆくグルグルと回るような予想外の展開、そして重要な場面ごとに大きな選択肢がわたしの前に現れました。
- 異変を感じた後に行動しなかったら?
- もし心療内科に行かなかったら?
- うつ病を発症して中途半端に逃げ出していたら?
- 仕事を辞めることを延期・撤回していたら?
- 自ら立てた計画がうまくいかなくてあきらめていたら?
- 仕事の依頼を受けたときに怖くて断っていたら?
これらは今回の自分が回避した選択肢たちです。
今回はこの逆の選択をしていったわけですが、毎回わたし自身にとってかなりの勇気が必要でした。
恐怖が何度も襲いかかって逃げた方が楽と思うことも何度もありました。答えが出ずに同じところを行ったり来たりしているだけのこともありました。ただ今思えば、それは何かに自分を試されているかのようにも感じました。
ひとつでも勇気を必要とする選択から逃げてしまったら、少なくともこの時期に仕事に復帰するという大きな目標を達成することは決してかなわず、今こうして穏やかな心でこの文章を書いている状況には決してならなかったと思います。
もちろんこれらをクリアできたのは、わたし1人の力では決してありません。多くの方々に力をもらったり、相談したり、応援を受けたり、受け入れてくれたりしたから・・・本当に幸運だと思っています。
「まるでアドベンチャーゲームのマルチシナリオみたいだ・・・」
それが今自分が感じている素直な感想です。
選択したルート(現在)
回復のためにそれに集中して過ごした数か月。
その間にSNSでも応援しあう方々と出会い、リアルでも多くの方々に支えられることで、うつ病でひどかった自分とその時点の自分との距離が少しずつ遠くなっていく感覚に変わっていきました。
心療内科に通い続け、担当医に「仕事をしてみても大丈夫だろう」という期待していたコメントを確認してから、仕事を始めるための準備を開始しました。
また生活資金についても補助してもらえる制度は利用し、人が一番追い詰められる可能性の高い金銭問題を少しでも減らそうと、自立医療制度や国民健康保険の減免の申請をしたり・・・とにかく後顧の憂いを断つ意識で行動しました。
仕事選びも過去に自分が好きで負荷が比較的少なめのもの、そして期限があるものを選びました。本当にいいタイミングでいい案件のお話をいただけたのもラッキーだったしか言えません。
さらに念には念を入れて、少し心身の様子を見る期間を設けました。あえて少し無理をしてみたり、マルチタスクを試してみたり・・・実際に仕事に入る前にテストを自身に課しました。
そういった経緯を経て、うつ病で離職してから6か月半ぶりに仕事を始めることになりました。まだまだ慣れていないことばかりや大変な業務も控えているので不安はまだまだ強く多いものの、現在は思ったよりもスムーズに業務を進めることができ、なんとかなりそうだという手応えを掴んでいます。
そして多くの方々に応援、励まし、労わりの声をいただけるようになり、日々感謝しながら過ごせることができています。
うつ病で変わった未来
わたし自身が思い描いていた未来はうつ病に発症したことで確実に一度壊れました。今の再構築した現在からつながる未来は、発症前の自分からつながっていた未来とは別のものです。
その未来もまだ再始動のスタートをしたばかり・・・決して油断はできません。うつ病自体もよくなってきたといえ、まだ関係は続きます。
すぐにうつ病が一瞬で治るようなことはないですし。抗うつ薬や睡眠導入剤は継続して治療中、精神が不安定になることも低気圧の影響を受けること、疲れやすさもまだあります。少なくともこれからあと半年は通院が必要で服薬をする必要があると認識しています。
仕事の負荷が高くなったり、何か衝撃的なことがあればすぐに悪化、再発することも十分に可能性が高いと考えていますし、これからもずっと自身の心身のケアや再発を防止することに気を遣うことが続くでしょう。
今回自身にとって最適かつ最短に近いものを取りつつ、無理をしないイメージを思い描いて突き進んだ現在のシナリオルート。果たしてこのルートがグッドエンド(成功)につながるのか、はたまたバッドエンド(失敗)への布石なのかはまだ正直わかりません。もしかすると、今回のことも含めて”大きな人生という従来のメインシナリオに組み込まれているもの”なのかもしれません。
ただ少なくとも、うつ病を発症してあのまま悩み続けていたわたしのもうひとつの未来には光はなく、絶望的な闇に包まれていた可能性は非常に高かったと思わざるを得ません。
その最悪なルートではない自らが望んで選択した未来へのルートのスタートラインにようやく立てたと今の私は認識しています。
そしてこれからも未来を何度も挫折をして回り道をすることも数多くあるはずです。弱音を吐いて逃げてしまうこともあるかもしれません。ですが、それでも最終的には自分が納得できるルートを選んでいきたいと強く思います。
移りゆく世界の中でわたし自身、またうつ病に苦しめられることもあるかもしれません。他の不幸や大きな病気やケガをするかもしれません。
その時は今回自身が歩んだことを糧に再び歩みたいと考えています。
どうするべきかを悩み、勇気を出してしかるべき行動をすれば、わたし自身が望む未来に変えていくことができると信じて・・・
うつ病発症物語 完
あとがき
長い上に拙文をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
「なんでこんな自分だけツライんだろう?」
「嫌だ、何もかも逃げ出したい」
「本当にどうしたらいいんだ・・・」
「ずっと良くならないまま、治らないままなのかな・・・」
「どうしたら調子が上向くのだろう?」
「今後仕事をすることはできるのだろうか?」
これらは異変が起こってから、わたしの頭にずっと浮かんでいた言葉。そして、この話に散りばめている当時のわたし自身を苦しめ続けた言葉たちです。
この【うつ病発症物語】は、自分の異変からうつ病を発症して苦しみ、心療内科に行くかどうかで悩み、会社の進退で逡巡し、回復に向けて動いてきた自分の状況や当時の心の動きや悩みなどを素直な気持ちで書こうと思って始めたものです。
そしてこれを書いている間にSNSを活用することが増えました。同じように悩み、苦しみ、自己嫌悪に陥っている方や自分よりも重い症状で苦しんでいる方、自分よりも厳しい環境に置かれている方が多くいらっしゃることも知ることができました。
「うつ病になって良かった!」と、とても口が裂けても自分は言うことができません。人生で一番苦しいと思った事態でしたし、失ったものやいまだに残り続けている言いようのない不安はずっとつきまとうからです。
ですが、今回わからないなりに、戸惑い、調べ、辛抱し、試案し、試行錯誤し、苦しんで、喜んで・・・ようやく見えてきたもの、得たものがありました。しかしうつ病になってまで必要だったのか?という問いには残念ながらYESと言い切れない部分がまだまだあります。それだけ自分にとっては厳しい時期であったからです。
今回の【うつ病発症物語】を通じてそれらを伝え、少しでも読んでくださった方にフィードバックできるようなもの、前向きになるきっかけになればいいなという気持ちは日頃コメントや応援、共感したと言ってくださる方々が増えてきたおかげで一層強いものとなり、それが反映されています。
文章力が不足しているため、伝わりづらい表現も多かったと思いますが、本当に些細なことでも今これを読んでくださっている方に何かプラスになることが伝われば幸いです。
もし今まさにうつ病やメンタル疾患に苦しんでいらっしゃる方がこの話を読んで回復に向けて動き出すきっかけやヒントになり、あなた自身の【うつ病回復物語】をつむぐことになるのならば、これほど嬉しいことはありません。
最後に【うつ病発症物語】に関係する皆様、応援してくださった皆様、今読んでくださっているあなたに謝意をお伝えしたいと思います。
あなた方がいなければ、このコンテンツをひとまず完結させるとは正直難しかかったのは疑いない事実です。それを終わらせることができたのはあなたを含めて皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。
はいみっくす
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