復帰する仕事探しのポイント
うつ病を発症して動けなくなった自分でしたが、再始動するためには「自分は仕事ができる」ということについての自信を取り戻す必要がありました。
自分のことを「長期放牧明けの競走馬」であると捉えていました。競馬でよく見る名馬であっても休み明けのレースでは能力を発揮できない、勝負勘が戻っていない、調子が上がり切っていないという理由で初戦の成績はイマイチであることを知っているからこそ、初戦やその準備は大切であり、その復帰戦は慎重に考える必要があると判断していました。
そして過去と今の自分の差分や仕事やストレスの耐性などを見極めるのに最適なものは何だろうか?という観点も踏まえて考えました。
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過去にやった比較的負荷の少ない仕事
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リハビリ的な意味合いが強いマニュアルがある単純作業
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自分が適職と考えている仕事
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まったく未経験の仕事
4の「まったく未経験の仕事」は真っ先に消しました。
新しいものへの対応は以前よりも相当落ちていることが実感できていたからです。対応できずに自己嫌悪に陥るリスクが高すぎました。
2の「単純作業」は復帰戦としては非常に向いています。
ですが、自分の向上心と飽きっぽい性格からそういった作業を選ぶこともリスクが高いと考えて消去しました。
1の「過去に経験済みの負荷の少ない仕事」は過去を振り返ってみると、そんな負荷の少ない仕事をした記憶がないというダメダメなオチ。
ただ似たような業務がないかを探す候補には入れました。
3の「適職と考えている仕事」ですが、これは自他ともに向いていると考える適性のある業務。
過去数年の経験があり、ある程度予測ができる内容。
ただし難易度が高く、健康だった時でも燃え尽き症候群になるレベルの集中力を必要とします。人の観察と多くのコミュニケーション、瞬時の判断・選択、雑多な作業と朝夜の残業が多く、臨機応変さを求められ、心身ともに負荷が非常に高いものです。ですが過去の自分と今の自分の差分を知るには最適。
ただしこの業務は特殊なのでクライアントから依頼がないといけません。
ただ気に留めなくてはいけないのは、この仕事で自信を喪失すると、自分の将来に大きな影を落とす危険があることです。その影響は数年にわたる恐れもあり、きわめてギャンブル的な要素が強い選択肢であるのです。
とりあえず1と3の経験したことのある業務内容に近いものを派遣や転職サイトを使って検索する日々が始まりました。
依頼されたお仕事
探し始めたタイミングで、以前働いたことのあるクライアントから仕事の依頼がありました。ほぼその日に近いので正直驚いた記憶があります。現場は以前何度も行った場所で楽しい思い出のあるところでした。
仕事に関しては事情がある程度わかっているもの、そして経験済みのものであることを重視していたので、問題はクリア。
そして期間が”2か月”というのも都合が良かったのです。期限がないと「いつまでこの苦しい仕事が続くのだろう?」という気持ちになりえるからです。
仕事の内容は身バレや守秘義務の関係からややぼかしますが、ある専門学校のようなところで行われるスキルアップ集中講座(フルタイム)の運営とサポート、インストラクターのようなお仕事です。
当日までにその日の内容や問題点や注意点などをまとめたり調べたりする準備が必要なのも特徴です。そしてこの仕事は3名ほどの構成人数でユニットとして仕事を進めていくスタイルでした。
業務内容の難易度と今までとの違いがどれだけあるかがカギとなりましたが、まさに好機と判断して、その仕事の依頼を受けることにしたのです。
選択と目算
ただ不安要素がなかったわけではありません。この仕事は単純作業ではなく、後半はスケジュールが非常にタイトで瞬間的な判断を必要とする場面が増えるのです。そこが今回の仕事のターニングポイントだというのはわかっていました。
うつ病を発症してから感じていた決断する能力の低下を考えると、その点は正直大きな割引が必要でした。復帰するには、単純作業や軽作業、マニュアル通りの作業などが適しているのだろうなという判断はこの時点でも十分すぎるほど把握できていました。
また人と会話することが好きな自分にとって、参加者と話す機会が多いのもプラスと捉えました。
そしてすでに以前一緒に仕事をしている慣れた人たちと組むことで精神的な不安もある程度は緩和されるだろうと。
相当きついことは予想できるので、精神的にも体力的にもギリギリかもしれない。10連休をしっかりと休むことができるという今年のスケジュール的なメリットを利用すれば、なんとかなるだろうという目算を立てていました。
しかしその目算が甘すぎたものであることは早い段階で気づくことになるのでした・・・。
第3話「手応えと警告」に続きます
【おしごと再起動 ~うつ病前後の境界線~ 】全話リスト
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